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なぜ「うどんの丸亀」はライフスタイル企業へ変貌するのか

「ライフスタイル・グローバル企業」への転換を目指し、2025年までに売り上げ5倍、その約6割を海外事業で創出するというトリドール。その足がかりとして、すでに多数のM&Aを行い、外食にこだわらない事業展開を行っている。 そもそも、なぜ「うどんの丸亀」が「ライフスタイル・グローバル企業」を目指すのか、そして今後グローバルブランド企業としてどのように事業を展開していくのか。粟田貴也社長がその戦略を語る。(全4回)

「快進撃」なのに危機感を抱くワケ
焼き鳥屋からはじまったトリドールが丸亀製麺1号店を出店したのが2000年。現在、丸亀製麺だけで国内に約800店舗を出店しています。
さらには海外への既存ブランド出店、現地チェーンの買収も進め、トリドールグループ全体では、国内に940店、海外に375店舗。日本の外食チェーンで、これほど海外の比率を増やしているのは私たちだけです。
ほかの外食チェーンがまだ進出していないところにも積極的に打って出ているので、当然、失敗もあります。でも、失敗から学ぶことはたくさんあるし、プライドを捨てるチャンスでもある。
おかげで、海外でちょっとしたトラブルが起きても耐えられる「打たれ強さ」が身につきました。

正直なところ、国内の外食産業においてそれなりのポジションを築けていますし、国内・外ともにまだまだ伸びしろがある。
ただ、今後も外食だけで成長していけるかというと、危機感もあります。「これだけ順調なのに」と思われるかもしれませんが、今の世の中、技術革新によって何が起こるかわかりません。
たとえばAmazonの出現以降、小売業は苦戦を強いられています。物が売れないということで、「モノ消費ではなくコト消費だ」と言われてから、もう何年も経っていますが、状況はよくならない。
小売業に起こったようなショックが、いずれ外食にも起こるのではないか。私はそう考えています。
小売業の苦境は外食にも波及する
私たちはショッピングモールへも出店していますから、モールの苦境はよく知っています。
特に厳しいのがアパレル。アパレルの場合、ほかの小売り以上にスマホアプリが台頭している。アパレル業界の人たちも、少し前までは「店に来て、実際に服を見て、触って選ぶのが消費者の喜びなのだ」と、スマホで服を購入する行為を異端と見ていたはずです。
それなのに、どうしてこんなことになったのか、僕なりに考えてみました。それは、消費者のほうが感性が豊かで、自分たちで価値を創造できるようになったからではないでしょうか。
「Aを持っていることがかっこいいんだよ」と訴えても、「Bのほうが自分らしくいられる」「Cのほうが快適」と、製品やサービスを提供する私たちの理屈では説得されなくなっている。
ブランド側の価値観ではなく、個人の中で価値観ができあがっていて、あらゆるものの基準が「自分にとって価値があるか」になったということなんでしょう。

インスタグラムを見ていると、人々がどんなところにでも楽しみを見いだしていることがわかります。日常のなかにも、日常なりの「ハレ」を求めている。そういう状況では、商品だけでなく、世界観や雰囲気も提供できなければダメなんです。
「外食チェーンもまた、いずれ大きな変化の波にのまれるだろう」
数年前から僕はそう感じるようになりました。でも、最初のうちは、「ポジショニングを変えれば、外食の世界でも生き残ることができるだろう」と考えていたんです。でも、その考え方はとても危ういことに気づいた。
スマホで服を買うのが当たり前になったように、人の生活自体がどんどん変わるなかで、外食自体がどうなるのかもわからない。外食の枠のなかだけで考えていては、変化についていけないんです。
実際、最近ではデリバリーがかなりの勢いで伸びています。たった数年で、ベランダにドローンが飛んできて出前をしてくれる世の中になるかもしれない。
また、「働き方改革」という言葉も最近よく耳にしますが、人の働き方が変われば、出社しない人も増えて、住み方が変わり、生活圏も大きく変わるはずです。
「外食」という枠からの脱却
丸亀製麺は、外食チェーンでは「非常識」だとされてきました。
セントラルキッチンは存在せず、麺もダシも天ぷらも店ごとにつくります。製麺機を置かなければ席を増やせますが、製麺機があって、大きな釜で麺をゆでている風情こそが丸亀製麺の肝ですから、これは譲れない。

あらゆる工程を店ごとに行うので、品質をそろえるのも並大抵の苦労ではありません。それでも、従業員の努力により、お客さんに「おっ!」と思っていただけるような店舗を作り続けてきました。
その成功体験があるので、人の生活自体が変わっても、外食がこのまま変わらなければ、トリドールはまだまだ成長できるという確信があります。でも、あくまでも「変わらないのであれば」という注釈つき。
残念ながら、変わらないわけがないんです。外食はひょっとすると存在ごと消えてしまうかもしれない。「いつか信じられないことが起こる」。そう思って、備えなきゃいけない。
僕、外食業界が大好きなんですよ。目の前で調理すればお客様に喜んでもらえるし、「おいしい」「まずい」という反応もダイレクトに返ってくる。失敗しても、創意工夫によって明日にはよりよくすることもできる。

小売業界にも優秀な人はたくさんいます。彼らが変化の波に気づかなかったわけがない。
では、気づいていたのに、なぜ動けなかったか。
それは、既成概念にとらわれていたからではないでしょうか。僕にも具体的な未来は見当もつきませんが、食事を提供するサービス自体はなくならないだろうと見ています。ただ、外食、中食、内食の仕切りはなくなっていくかもしれません。
外食の仕事が大好きだから、外食で成功したいという思いは強いです。でも、自分たちのことを「外食企業だ」と思っていると、時代の流れを読み違えてしまうかもしれない。
だから、ライフスタイルとの接点を増やし、ライフスタイル企業として生まれ変わることで、変化を敏感に感じ取り、対応できるようにしよう。私たちは今、そういう思いで動いています。
去年からは具体的に行動を起こしています。
ノンオイル・無添加の食品や化粧品、サプリを扱う「SONOKO」ブランドを展開するSONOKOグループを100%子会社化したり、食材ECサイトを運営する株式会社バルーンを設立したりもしました。
僕らの動きを、一時期流行した多角経営化と見ている人もいますが、そうではない。あくまでも食を軸に、食という価値観からライフスタイルを提案していくのです。
僕は若者を見守る「近所のおっちゃん」でいい
トリドールは「2025年までに売り上げ5倍、その約6割を海外事業で創出」という目標を掲げています。大風呂敷も大風呂敷で、メガ風呂敷というぐらいの大目標ですが、そのくらいの圧力がないと、一度できた路線をずっと続けてしまうのが人の性です。
僕たちがライフスタイル企業に生まれ変わるためには、これまでいなかった人材の確保も重要です。大きく舵を切るなかで、外食以外からも面白い人たちを集めなくてはいけないし、すでに集まりはじめています。
経営者は自分の世界観だけで事業を捉えていてはいけません。人も事業も、成長のためにはいい意味での「想定外」が必要だからです。だからトリドールも、ホールディングス制を採り、新しい事業はどんどん分社化して若い人に任せるようにしています。
僕は社長なので、最後に責任を取るのが仕事です。「こんなことがしたい」「今後、これが面白くなる」なんて発想は、僕よりも若い、優秀な人たちから出してもらったほうがいい。
そういう意味では、僕は「近所のおっちゃん」みたいなポジションでいいんです。子どもが遊んでたら、「そんなんしてたら危ないでー」って話しかけてくるおっちゃん。

僕がそんな考え方だから、社員たちとの距離感は近いですよ。うちの社長室はガラス張りなんですが、何か僕に話したいことがある人は、アポなんか取らずにガラスを「コンコン」とたたいてくる。いい距離感です。
ただ、社員から常に丸見えなので、昼寝できないのが悩みですが(笑)。
これまで以上に面白い発想ができる人が社内に増えてきたことで、もうひとつ、やりたいことが出てきました。
日本は起業家が生まれないと言われます。僕から言わせれば、その理由は簡単。「世の中、そんな甘くないで」という言葉が若い人をつぶしているんです。僕は「そんなことないで! 甘いとこあるで!」と言って、人を集めたい。
東京のオフィスは2年前に引っ越したばかりなんですが、もう新しい場所を検討してるんです。もっとコワーキングに適した物件を探しています。別にトリドールに入社しなくてもいいから、いろいろな人が集まるスペースにしたいんです。
「なんでそんなチャレンジをするんだ。事業は順調なんだから、外食だけやっていればいいじゃないか」。そんな声をいただくこともあります。
実のところ、僕だって名経営者になりたいんすよ。「外食業界の松下幸之助」なんて呼ばれたらうれしいなと思ったりもする(笑)。
このまま外食だけやっていけば、大きな失敗を経験することもなく、いずれそんな未来が来るかもしれないという誘惑もある。でも、チャレンジしたい。そうしたら、名声よりももっとワクワクすることが待っているはずです。
(編集:大高志帆 構成:唐仁原俊博 撮影:露木聡子)

■本記事はNewsPicks Brand Designの制作のもと、2017年12月5日にNewsPicks上に掲載されたものです。

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